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‐ 30代・40代のための資産運用やら生活に関するアレコレ -

今話題になっている金融庁が公表した「高齢社会における資産形成・管理における提言」をわかりやすく抜粋・解説してみます。(その1)

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 金融庁が公表し、その日のうちから結構な物議を醸しだしている「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書」について要点を抜粋して読み解いていきたいと思います。

 抜粋してもボリュームがかなりありましたので、今日から何回かのシリーズにして掲載していきたいと思います。
 ということで、今回はその第1回目です。

そもそも「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書」ってなんだ?

 「報告書」の「はじめに」中に、こう記載されています。

“金融審議会市場ワーキング・グループにおいて、高齢社会のあるべき金融サービスとは何か、2018 年7月に金融庁が公表した「高齢社会における金融サービスのあり方(中間的なとりまとめ)」を踏まえて、個々人及び金融サービス提供者双方の観点から、2018 年9月から、計 12 回議論を行い、その議論の内容を報告書として今回提言する。”

 ・・・つまり、有識者の方々が集まって今後の金融サービス等について話し合った結果、みなさんに提言(=考えや意見を出すこと)します、という話ですね。
 有識者の方々が集まって出した意見ですので、現在の状況を分析し、未来における予測を的確に行ったものと思いますので、かなり確度の高い情報になっているのではないでしょうか。

「はじめに」に記載されている気になる事項

“・・・金融を巡る特に大きな背景の変化として挙げられるのが、人口減少・高齢化の進展である。わが国の総人口が減少局面に移行した中、長寿化は年々進行し、「人生 100年時代」と呼ばれるかつてない高齢社会を迎えようとしている。・・・(中略)・・・、個々人においては「人生 100 年時代」に備えた資産形成や管理に取り組んでいくこと、金融サービス提供者においてはこうした社会的変化に適切に対応していくとともに、それに沿った金融商品・金融サービスを提供することがかつてないほど要請されている。”
 ・・・なるほど、私たちは寿命の延伸によって老後資金が枯渇する可能性があるので、資産形成や管理を「かつてないほど」行わないといけない、ということですね。

 確かに寿命の延伸は、健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)が単純に延伸されるわけではなく、病気やケガ等の医療費等の発生が考えられますし、そもそも老後は就業していなければ年金以外の収入が発生しないことになりますので、それまでに蓄えておいた資産を切り崩しながら生活することになりますよね。

 「人生80年」で資産を切り崩して生活する予定が「人生100年」に20年延伸されたら資産が枯渇して生活ができなくなってしまいますよね。

“・・・今後とも、金融サービス提供者や高齢化に対応する企業、行政機関等の幅広い主体が、今回の一連の作業を出発点として国民に本報告書の問題意識を訴え続け、国民間での議論を喚起することにより、中長期的に本テーマにかかる国民の認識がさらに深まっていくことを期待する。”
 ・・・これは見事に効果がありましたね。みんな「年金だけで足りないことを認めたな!!」と息巻いてますからね。(笑)

 一部では年金不信による返金を求める声もあるみたいですが、まぁ、でも冷静に考えれば「足りないなら今まで払った年金返せ」はかなり乱暴な言い分ですよね。
 そもそも公的年金は、個人が納めた保険料を積み立ててその運用益とともに個人に返す(=積立方式)のではなく、現在の現役世代の納める保険料によって現在の高齢者の年金給付を賄うという、「世代と世代の支え合い」、すなわち世代間扶養の仕組み(賦課方式)によって成り立っていますので、そういった方が増えてしまいますと、今生きて年金を受給されているおじいさん、おばあさんが年金貰えなくなってしまいますからね。

 短絡的には考えず、でも年金の未来について冷静に、ゼロベースで一度考える場があるといいのかもしれませんね。

 「はじめに」についてはこんなものでしょうかね。
 続いて「1.現状整理(高齢社会を取り巻く環境変化)」についてみてみましょう。

長寿化により様々な変化が起こる

平均寿命が延びる

“・・・日本人は年々長寿化している。1950 年頃の男性の平均寿命は約 60 歳であったが、現在は約 81 歳まで伸びている。現在60 歳の人の約4分の1が 95 歳まで生きるという試算もあり、まさに「人生 100 年時代」を迎えようとしている・・・”

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 ・・・平均寿命80歳はよく耳にしているところですが、4人に1人が95歳まで生きる、というのは初耳ですね。確率でいうと25%なので、自分にもその可能性が十分にあるってことですね。

健康寿命との差がひろがる

“・・・健康寿命は、男性で約72歳、女性で約75歳である。平均寿命から考えると9~12年は、就労が困難など、日常生活に何らかの制限が加わる形で生活を送る可能性がある。日常生活に制限が加わるということは、金融面でいえば、就労の困難化に伴う収入の減少や、介護費用など特別の費用がかかる・・・”

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 ・・・平均寿命まで健康でいることはやはりかなり難しいんですね。死亡に至るまでに8年闘病することを考えると病と付き合っていくこと自体も大変ですが、お金もかかってしまいますよね。家族の介護への金銭・肉体・精神的負担を考えると出来ることなら「ピンピンころり」で人生を終えたいところです。

認知症の人が増加する

“・・・65歳以上の4人に1人が、認知・判断能力に何らかの問題を有していることになる。80 歳から 84 歳では認知症の有病率は、男性は約6人に1人、女性は約4人に1人、85 歳~89 歳ではこの割合は倍ほどに増加し、以降の年齢でも認知症の有病率が増加している。さらに、今後の高齢化と相まって、2025 年には認知症の人は約 700 万人前後まで増加すると推計され、これは 65 歳以上の約5人に1人が該当する・・・(中略)・・・これに起因する金融サービスにおける制限は多岐に渡るが、その一つに資産の管理が自由に行えない点が挙げられる。資金の自由な引き出しはもちろん、これまで資産運用を行ってきた場合でも、認知・判断能力に問題があり、本人意思が確認できないと判断された場合には一定の制限がかかりうる。・・・”

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 ・・・たしかに認知症になってしまうと資産の管理・運用は難しいですね。特に単身者についてはそういった面倒をみてくれる人がいないと「詰む」ことになっちゃいますから、大問題ですね。

“・・・今後、成年後見制度を利用する者が増加することが予想される。後述する個人の金融資産の大半を高齢者が保有する状況に鑑みれば、同制度の利用増加に伴い、同制度の枠組みに入る金融資産が大きく増加していくことが想定される・・・”

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 ・・・これに対する対策として国が実施しているのが「成年後見制度」というわけですね。
 成年後見制度をざっくり説明しますと「例えば認知症で判断能力が衰えてしまった方がいる場合、周囲の方が制度を用いて後見人となり、その方の財産を不当な契約などから守ることができる制度」ですね。これにより、(認知症になったりして)判断能力がなくなってしまった場合でも、その人の代わりとして後見人が財産管理等をすることで、銀行からの資産の引き出し等が行えなくなってしまうことを防ぐことができます。
 たしかに、単身者の方についてはこういった危険性がありますので判断能力を失うまえに、制度利用の検討をしたほうがいいですね。

公的年金の水準はやっぱり下がるのか

“・・・公的年金の水準については、今後調整されていくことが見込まれているとともに、税・保険料の負担も年々増加しており、少子高齢化を踏まえると、今後もこの傾向は一層強まることが見込まれる。”

 ・・・あ~、やっぱり年金額は調整されるんですね。。。まぁ、少子高齢化で負担する世代がいないんだからそうならざるを得ないですよね。

“・・・高齢夫婦無職世帯の平均的な姿で見ると、毎月の赤字額は約5万円となっている。この毎月の赤字額は自身が保有する金融資産より補填することとなる。”

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 ・・・高齢の無職夫婦世帯の場合、一か月におよそ25万の生活費がかかるのに、年金等による収入はおよそ20万円で5万円足りないと・・・さらに余裕のある老後を送るための生活費について生命保険文化センターが「生活保障に関する調査」にてアンケートをとった結果によると、ゆとりある生活に必要な生活費の平均は「月35.4万円」となっていますから、それで言えば15万円足りない、ということになってしまいます。。。きびしいぃ~!!
 まぁ、そこまでは言わないまでも慎ましく生きるのにも年金だけでは生活していくことができないことがこれで明らかになってしまいましたね。

 実収入(209,198円)- 実支出(263,718円)= 不足額(54,520円)
 必要老後資金額 = 54,520円 × 12月 × 30年(65~95歳まで)
         = 19,627,200円
 これが今、ニュースを賑わせている「老後資金に2,000万円必要」の出所というわけです。

 ということで、「高齢社会における資産形成・管理」内容について抜粋してお届けしているところですが、結構な長文になってしまったので、今回はここまでにしたいと思います。
 次回も引き続き「高齢社会における資産形成・管理」における提言の気になる点を抜粋してお届けしたいと思います。

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